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Vol.2 国立研究開発法人防災科学技術研究所


国立研究開発法人防災科学技術研究所


花島誠人 氏



第2弾は、JSA-S1016『災害情報共有のための共通データフレームワーク-SIP4D-ZIP』の開発主体である国立研究開発法人防災科学技術研究所様 【後編】となります。

現在、JSA規格の開発を検討されている方はもちろん、JSA規格に少しでも興味・関心がある方にこの制度の魅力をお伝えできれば幸いです。

【後編】


── JSA規格(JSA-S1016)が発行されたことで、何か影響、反響はございましたか。

 規格の発行後、台風や豪雨の災害は何度かありましたが、すでにSIP4Dに対応している自治体からのデータは実際にSIP4D-ZIPで随時送られてくるようになっています。今回の能登半島地震でも、SIP4DにSIP4D-ZIP形式で共有されたデータが、国の情報共有のためのサイトに自動で表示できるようになっています。
それから、現在SIP4Dは防災科研が運用しているのですが、次年度から内閣府の次期総合防災情報システムにSIP4Dの機能を融合することが方針として決まっていて、開発が進んでいます。今後は,国と災害対応機関の情報共有の規格の一つとしてSIP4D-ZIPが活用されることになると思います。


── JSA規格(JSA-S1016)の発行からおよそ1年近く経過しております。今後の一層の普及に向けた展望をお聞かせください。

 現状SIP4Dと連接する都道府県は全体の50%強というところですが、これを全都道府県に広げるのが目標です。ただ急にSIP4Dに繋げと言われてもなかなか難しいので、それなりの移行期間は必要になると思いますが、国の災害対応の一環として進んでいくことになると思います。
それから、SIP4D周りの状況として、現在対応できていないデータ形式についても対応していこうと考えています。大枠はSIP4D-ZIPに準拠しながら、実体としてのデータ(ペイロード)の仕様については必要に応じて新しく実装モデルをつくっていくことになります。例えば、ドローン画像データや衛星観測データの情報共有のためにも活用できるような仕様を試験中です。これは規格の外側の話ですが、ベースになっているデータフレームワークの考え方はJSA規格そのものです。今後こういったものも規格化する必要があるとなれば、JSA-S1016をバージョンアップするか、または新しい規格を開発するかもしれませんね。



── 現在、JSA規格の開発を検討されている組織様に何かアドバイスはございますか。

 規格にするということは、システムの仕様をある程度オープンにするということです。これはメリットになる場合とデメリットになる場合がある。もし組織がメリットだと判断した場合、他のJISやISOと比べて、JSA規格は圧倒的に早く開発できます。適用範囲は狭いものの、ある程度業界で周知されている規格や、これからそうなりそうな規格であれば、できるだけ早くJSA規格という形でまず規格にしてしまって、実績を積んだうえで国際展開していくことも可能だと思います。難しく考えず、まずやってみたほうがいいと感じました。


──ご質問は以上です。どうもありがとうございました。