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スペシャルインタビュー
第一弾

ISO/PC283日本代表エキスパート
中央労働災害防止協会 斉藤信吾氏に聞く

第2回 労働安全衛生マネジメントシステムとは 前篇

-基本的な考え方
組織的に労働災害を防止するには、やるべきことがいくつかあります。例えば、体制を整備したら、当然教育もしなければいけません。その教育というのも経営層や、部課長クラス、そして現場の人たちそれぞれに対する教育があります。また、大正時代から日本で実施されてきた日本独自の安全衛生活動というのがあります。例えば、バスの運転手さんや電車の車掌さんの指差し呼称はその一つです。その訓練もしなければならないし、安全衛生予算の検討もしなければなりません。
手順を作り、教育をして、予算をつけ、本当に危ないところは機械化する、もしくは機械にカバーや安全センサ等をつけます。それでもどうしてもリスクが残ってしまうところは人間のヒューマンエラー防止に、KY(危険予知)活動を行う。法令順守はもちろんですが、そのような自主的な安全衛生活動を組織的にやる、労使が一体となり全員参加でやろうという考え方が労働安全衛生マネジメントシステムです。


-PDCAサイクル
日本はいわゆるPDCAサイクルのPとDは、労働安全衛生の分野で比較的良くできていたのですが、CAがあまりできていませんでした。それが、ヨーロッパの方からリスクアセスメントという考え方と一緒にこのマネジメントシステムの考え方が入ってきて、組織的、体系的にやろうという意識が徐々に広まり始めました。


労働安全衛生マネジメントシステムというのは、働く全ての人が対象になります。労働災害防止に関することは働いている人たちと協議しなさいよ、参加させなさいよ、ということです。そのような要求事項は労働安全衛生の特徴的なところです。
マネジメントシステムの範囲は組織内だけでなく、必要により出入り業者さんや、構内請負の方や工場見学に来た方まで含むことになっています。また、労働安全衛生マネジメントシステムは業種、規模等を選ばないで使えます。社会福祉施設でも厚生労働省のマネジメントシステム指針を導入しているところがあります。


ISO 45001のPDCAサイクルはISO 14001とほとんど同じですが、一つだけ違うのが、働く人の参加です。ISO 45001はトップダウンだけではなく、きちんとボトムアップもしないと労働災害の防止はできないよ、ということです。



次回は「労働安全衛生マネジメントシステムとは 後篇」を2018年1月12日にお届けいたします。
お楽しみに!





斉藤 信吾


中央労働災害防止協会 技術支援部次長 兼 ISO規格推進室長。 1987年に中央労働災害防止協会入社。 2003年から3年間マレーシアに赴任し、JICA(国際協力機構)の長期専門家としてマレーシア国立労働安全衛生研究所に労働衛生工学分野を技術移転。 2013年から作成が進められている労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格(ISO45001)について、日本代表エキスパートとして国際委員会に参加。また、ISO45001の審査員の力量規格(ISO17021-10)についても日本代表エキスパートとして国際委員会に参加するとともに、これらのISO規格のJIS(日本工業規格)の作成も行なっている。