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スペシャルインタビュー
第一弾

ISO/PC283日本代表エキスパート
中央労働災害防止協会 斉藤信吾氏に聞く

ISO45001導入の効果

-労働災害減少への取組みのきっかけとして
労働災害というのは、組織の業種や規模を問わずに発生しています。たまに大きな企業さんが大きな事故を起こしてニュースになりますが、実際は労働災害の約8割は中小企業で起きているのです。中小企業の皆さんがさらに安全衛生活動に目を向けて頂くために、ISO45001が一つのきっかけになればいいなと思います。これを取り入れて、運用していただければ、日本全体の労働安全衛生活動の水準アップに繋がると思います。平成28年は928人の方が労働災害で亡くなっていますし、労働災害が原因で4日以上休んだ方は117、910人です。痛ましい労働災害を減らすための策として、この国際規格、ISOというネームバリューは非常に有効かなと思います。
また、ISO化の大きなメリットとして、今まで労働安全衛生にあまり関心がなかった組織も、ビジネスの必要上から、ISO 45001に、ひいては自組織の労働安全衛生活動に目を向けて頂ける点もあるかと思っています。


-ISOは効果が出る
現状、9001や14001などのISOマネジメントシステム認証を、労力とお金をかけて取った割には効果が出ないと思われている組織も多いと思います。ですが、きちんと運用すれば、きちんと効果が出るシステムだということを、少しずつでも普及していきたいと思います。
経営者の中には、経営に直結するものではないと考えている方が多くいらっしゃると思います。品質や環境などISO認証を取得した事業場に対して、弊協会が平成29年に実施したアンケート結果では、97%が認証取得の効果があったと回答されています。
万が一大きな労働災害を起こせば、組織にはとてつもない損害があるわけです。安全衛生にかかる費用はコストではなく投資であり、長崎大学の試算では安全対策にかける費用は2.7倍の費用対効果があるとしています。働く人が注意していればそれでいいとか、怪我したらそいつが悪いんだという意見もありますが、それは違います。労働災害には根本原因があり、そこを解消しなければ災害は減りません。組織が労働安全衛生マネジメントシステムをきちんと運用すれば、労働災害を減らすことができるのです。


まず、ISO 45001を導入していただいて、その次にステップアップでJISHA方式OSHMS認証に取り組んでいただければ嬉しいですね。学生さんが就職先を決める際にISO45001を運用している企業を選ぶ。そうなるまでISO45001を普及させたいと思います。



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←第3回労働安全衛生マネジメノシステムとは 後篇



斉藤 信吾


中央労働災害防止協会 技術支援部次長 兼 ISO規格推進室長。 1987年に中央労働災害防止協会入社。 2003年から3年間マレーシアに赴任し、JICA(国際協力機構)の長期専門家としてマレーシア国立労働安全衛生研究所に労働衛生工学分野を技術移転。 2013年から作成が進められている労働安全衛生マネジメントシステムの国際規格(ISO45001)について、日本代表エキスパートとして国際委員会に参加。また、ISO45001の審査員の力量規格(ISO17021-10)についても日本代表エキスパートとして国際委員会に参加するとともに、これらのISO規格のJIS(日本工業規格)の作成も行なっている。