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リスクと機会への取組みをビジネスチャンスに②

 

 食品の原材料の多くは,農畜水産物であり,天候や海域など人や組織が制御できる範囲や程度に限界がある。希少な原材料を用いた製品では,調達量の変動によるリスクは高い。天候により作況が悪くなる場合,また,売れ行きが好調で需要が急に増える場合には原料の価格や供給の安定性を含めた品質レベルにも影響する。需要と供給のバランスがとれているときには機会であるが,変化によりリスクへと転じることも考えられる。状況によっては,あえてリスクを取って使用,販売することのメリットとリスク回避による経営への影響を考量することが求められる。これらへの対策として,原材料の等級や調達先の変更をすることが考えられるが,食品安全への影響など購買関連の情報収集も必要である。また,設備の老朽化を鑑みると,中長期にわたる設備の予算化や業務委託の可能性の検討も必要であろう。製品の企画や設計段階では,消費者ニーズや使用実態の調査,試作や試食を行うこともある。調理や保管方法による安全性への影響は,電気製品や日用品等と同様,できる限り設計段階で少なくすることが大事である。特に食品では微生物の増殖による安全性への影響もあるため,組織内外と連携した管理も求められる。そのために,日常のコミュニケーションの有効活用や,組織内外の人の知識や経験を得たり,力量の管理をすることが求められる。


 このように,組織での日常業務を振り返ってみると,食品の安全性についても,企画や設計段階,生産管理,購買,業務委託,人材育成の場面など,安全性を作り込んでいる活動が随所に見られる。これら,関連部門の責任と権限の付与,設備の充当などには経営者の関与が必須である。本規格の規格全体のPDCA サイクルは,フードチェーンにおいて当該組織が担う一連の活動がハザード分析の場面だけでなく,組織全体の活動に常に有効に,効果的に実施されるために重要である。

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